農地を相続する方法

文責:弁護士 井川 卓磨

最終更新日:2024年06月13日

1 農地を相続する相続人を決める

 農地を相続する場合、他の地目の不動産と同様に誰が遺産である農地を相続するのかをまず決めなければなりません。

 遺言書に農地の相続について記載がある場合には、遺言書に従い相続をします。

 遺言書が無い場合には、相続人間で誰が農地を相続するのかを遺産分割協議で決めなくてはなりません。

 また、遺言書がある場合でも、相続人全員の合意がある場合には、遺産分割協議をして遺言とは異なる内容の遺産の分け方をすることもできます。

2 法務局での相続登記

 農地を相続する人が決まったら、次に相続登記をする必要があります。

 農地を相続する場合、他の地目の土地を相続によって取得した場合と同様に、登記名義を相続人へ変更することが必要です。

 登記に必要な書類は、相続登記をするために一般的に必要とされる書類と同様です。

 すなわち、①被相続人の出生から死亡までの戸籍と相続人の現在戸籍、②農地を相続する相続人の住民票、③遺産分割協議書又は遺言書、④農地の固定資産税評価証明書、⑤相続人全員の印鑑証明書が必要となります。

3 農業委員会への相続届出

 次に、農地を相続する場合に特有の手続きとして、市町村の農業委員会に届出を行う必要があります。

 農業委員会に対しては、農地法の規定による届出書と登記事項証明書を提出する必要があります。

 通常、農地を売買によって取得する場合には、農業員会の許可を得る必要があります。

 しかし、相続で農地の名義変更をする場合には、農業委員会の許可は必要ではなく、届出で足りるとされています。

 なお、農業委員会への届出は、相続開始を知ってから10か月以内に行わなければなりません。

 この10か月の期限を過ぎてしまうと「10万円以下の過料」というペナルティが課されることになりますので、期限を経過しないように注意が必要です。

PageTop