遺留分の計算方法

文責:弁護士 井川 卓磨

最終更新日:2023年12月05日

1 遺留分のある相続人

 遺留分とは、一定の相続人に認められた権利です。

 遺留分の権利があるのは、兄弟姉妹(その代襲相続人)以外の相続人です。

 兄弟姉妹には遺留分は認められていません。

2 遺留分割合

 遺留分の割合を計算するにあたっては、全体の遺留分割合を確認した後、各権利者の個別的な遺留分割合を計算する必要があります。

 全体の遺留分割合は、直系尊属のみが相続人である場合には3分の1、それ以外の場合には2分の1です。

 この全体の遺留分を、遺留分権利者の法定相続分に応じて配分することになります。

 「遺留分は各相続人の法定相続分の半分である」と誤解されていることも多いですが、直系尊属のみが相続人である場合には法定相続分の3分の1になりますし、配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合には、配偶者の遺留分は全体の2分の1となりますので、「法定相続分の半分」とはなりません。

3 遺留分の算定の基礎となる財産

 遺留分の算定の基礎となる財産は、被相続人が相続開始時において有した財産の価額に、その贈与した財産の価額を加えた額から、債務の全額を控除した額とされています

 贈与した財産は、原則として、相続開始前1年以内のものに限られるとされ、相続人に対する特別受益については10年以内のものが加算されることになっています。

4 遺留分侵害額

 遺留分侵害額は、遺留分の算定の基礎となる財産額に、その権利者である相続人の個別的遺留分割合をかけたうえで、一定の額を控除・加算して計算されます

 控除されるのは、遺留分権利者が受けた遺贈などの価額、生前の特別受益の価額であり、加算されるのは、遺留分権利者が負担した債務の額となります。

5 負担の順位

 遺留分の負担には順位が定められています

 受遺者と受贈者がある場合には、受遺者が先に負担することになります。

 受遺者が複数ある場合、贈与が同時に複数ある場合には、目的物の価額に応じて負担することになっています。

 受贈者が複数ある場合には、後の贈与を受けた受贈者から負担することになります。

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