相続税の申告後は必ず税務調査が行われるのか
1 相続税の税務調査は必ず行われるわけではない
相続税の申告書を提出した時点で、申告書の誤りが税務署から指摘されることはほとんどありません。
税務署は、相続税の申告書が提出されたのち、預金の残高や履歴、有価証券の残高や履歴、不動産の所有状況、生命保険等の支払い状況等を独自に確認し、申告内容とずれがあるかを確認し、疑問点や不明点があれば調査に入ります。
とはいえ、相続税の申告後、必ず、税務調査が行われるわけではありません。
ただし、他の税目の申告と比較して、相続税の場合は、税務調査が行われる可能性は非常に高く、「5件申告されれば、そのうち1件は税務調査が行われる」といわれているほどです。
これは、相続税の申告自体が、一生のうちに何度も行うものではありませんので、そもそも何を申告すればいいのか、どのように計算すればいいのか等が分わかっていない方が多いというのも理由の一つです。
また、相続税は比較的高額になりがちであるため、申告漏れも高額になる分、税務署側も税務調査を行う必要性が高いと考えていることが多いようです。
2 相続財産の総額が大きい場合には税務調査の可能性も高くなる
相続財産の総額が大きくなればなるほど、税務調査が行われる可能性が高くなるといえます。
なぜなら、相続財産の総額が大きくなればなるほど、財産の構成やお金の流れが複雑になりがちだからです。
相続財産の構成やお金の流れが複雑になれば、それだけ見落としやミスが増える傾向にあるので、税務署は特に力を入れてチェックをして、税務調査に臨むといわれています。
3 自分で相続税申告をした場合
税理士の力を借りずに、ご自分で相続税申告をする方もいらっしゃいます。
とはいえ申告に慣れていない場合がほとんどですから、そもそも何が相続財産にあたるのか、どういった点に税務署が着目するのか、よく分からないまま申告されることも多いです。
また、土地の評価は、専門的な知識が求められることが多く、税理士ではない方が自分で調べながら申告をすると間違いが出やすい部分でもあります。
このように、納税者自身が申告する場合には、税務署は、税理士が作成した申告書よりも間違っている可能性が高い傾向にあると考え、よりチェックが厳しくなり、その結果ミスが発見されれば、税務調査に入られる可能性が高くなるといえます。